先日みた新規の患者さん。
きっかけなく左膝の痛みが出現。
膝の自動伸展、起立動作、階段昇降、しゃがみ動作で膝外側に痛みを訴えていました。
関節裂隙や膝蓋下脂肪体に圧痛はなく、Gerdy結節や腸脛靱帯にも圧痛は認めませんでした。外側膝蓋支帯周辺に軽い違和感はありましたが、明確な圧痛所見は得られませんでした。
膝のROMは伸展-5°、屈曲はFullですが、最終域で違和感があります。
気になった評価所見
膝蓋骨の可動性を評価すると、上下・左右ともに可動性が低下しており、傾きも認めました。
モビライゼーションを行うと可動性自体は改善します。しかし、膝蓋骨を外側から内側へ動かしたときだけ、毎回同じ痛みが再現されました。
軟部組織由来であれば、モビライゼーションを繰り返すことで徐々に疼痛が軽減しても良さそうですが、何度行っても痛みは変化しません。
一方で、膝蓋骨の外上方への動きを誘導しながら自動伸展を行うと、伸展時痛は改善しました。
このことから、自動伸展時に必要な膝蓋骨の外上方への移動が不足し、膝伸展機構がうまく機能していなかった可能性を考えています。
疑問に残ったこと
今回、一番気になったのは「膝蓋骨を内側へ動かしたときだけ再現される痛み」です。
最初は、内側方向への可動性が過剰で、内側組織への伸張ストレスが原因ではないかと考えました。しかし、健側と比較しても明らかなHypermobilityという印象はありませんでした。
さらに、膝蓋骨外側を大腿骨へ圧縮するようなストレスを加えても痛みは誘発されませんでした。
そのため、単純な膝蓋大腿関節の圧縮痛とも少し違う印象があります。
今考えていること
膝蓋骨を内側へ動かす際には、単純な平行移動だけではなく、わずかな回旋や傾きも伴います。
そのため、痛みの原因は「内側へ動かしたこと」ではなく、その際に生じる滑膜や関節包、外側支持組織へのストレスなのかもしれません。
また、モビライゼーションを繰り返しても痛みが全く変化しなかったことから、筋・筋膜などの軟部組織由来というよりは、関節内組織や滑膜性の刺激である可能性も考えています。
もちろん、現時点ではあくまで仮説です。
同じような症例を経験された方がいれば、「自分ならこう考える」という意見もぜひ教えていただけると嬉しいです。
臨床では、痛みが改善したことだけで満足せず、「なぜその評価で痛みが再現されたのか?」まで考え続けることが、次の症例につながると改めて感じた一例でした。
最後に、膝伸展時の痛みや違和感は改善し、本人からも「起立時が軽くなった」との言葉が聞かれました。初回介入としては、まずまずの反応だったと思います。
ただ、膝蓋骨を内側へ動かした際に再現される痛みは最後まで変化しませんでした。
この所見が、深屈曲時に生じる疼痛と何らかの関係があるのではないかと考えています。
もちろん現時点では仮説に過ぎませんが、この痛みが改善されない限り、しゃがみ動作など深屈曲に伴う疼痛は残存する可能性もあるのではないかと考えています。
次回は、この再現痛の原因をもう少し掘り下げながら評価・介入していきたいと思います。

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