「『老化だから痛い』という言葉の、その先にあるもの。伝える側の葛藤とバランス」

聞き慣れた、残酷な言葉

「膝が痛いのは、老化のせいですね」 病院やリハビリの現場で、一度は耳にしたことがある言葉ではないでしょうか。

でも、少し考えてみてください。 「老化」が痛みの正体だとしたら、世の中のお年寄りはみんな、どこかが痛くなければおかしくありません。でも実際には、驚くほど元気に動いている90歳だっています。

老化だから痛くなる? では、老化によって、身体の中で「何が」「どうなって」痛みが出ているのでしょうか。

「老化」という言葉のパッケージ

リハビリに携わっていると、この「老化」という言葉には、あまりに多くの意味が詰め込まれていることに気づきます。

  • 筋力や体力の低下
  • 関節組織の変性(すり減りなど)
  • 身体を把握する感覚の鈍化
  • 痛みに対する感受性の変化

これらが年を重ねるにつれて複雑に絡み合い、痛みとして現れる。お医者さんは、それをあえて「老化」という誰もがイメージしやすい言葉でパッケージ化して伝えてくれているんだと、僕は思っています。

伝えるべきか、呑み込んでもらうべきか

詳しく説明しようとすればきりがありません。複雑な情報を伝えて、かえって患者さんを混乱させてしまうリスクもあります。

僕は、**「呑み込めない情報なら、無理に入れない方がいい」**と思っています。 でも一方で、「もう少し仕組みを知れば、もっと前向きにリハビリできるのに」という方も確実にいます。

この情報の取捨選択、その見極めが本当に難しいんです。

「自分の未熟さ」と向き合いすぎない

時々、こう思うことがあります。 「相手が理解できないんじゃなくて、僕の伝え方が未熟だから、うまく届いていないだけじゃないか?」

そうやって自分をアップデートしようとするのは大事ですが、そればかりを突き詰めると、正直、心が病んでしまいそうになることもあります(笑)。

完璧な伝え方なんて、きっと存在しません。 だからこそ、今の自分にできる精一杯の知識と技術を磨きながらも、**「今のこの人にとって、この情報は薬になるか、毒になるか」**というバランス感覚を、常に探り続けていたい。

90歳まで続く、バランスの修行

知識をアップデートするのは、相手を煙に巻くためではなく、難しいことを「その人が動きたくなる言葉」に翻訳するため。

「老化」の一言で終わらせない、でも難しくしすぎない。 そんな絶妙なバランスのとれるPTを目指して、明日からもまた、一人ひとりの身体と言葉に向き合っていこうと思います。


【今回のリーノ・ポイント】

正しい知識が、必ずしも人を救うとは限らない。 「何を知っているか」よりも「どう伝えるか」のバランスこそが、リハビリの神髄なのかもしれません。

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